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監督のセンスは、導入部を観ればわかる。
な〜んて厳しいことを言ってみたくなるのは、
それが旅の始まりにも似て、いちばん心躍る瞬間だから。
映画「プライドと偏見」は、
朝露に濡れた、みずみずしい田園風景から始まる。
きらきらと光る早朝の草原。
キーラ・ナイトレイ扮する主人公エリザべスが、日課の散歩を終えて家に戻る。
一冊の書物を手に、読みかけの頁に目を落としながら、
家のまわりに施された小さな堀に架かる橋を渡る。
つつましくも暖かな家族との暮らし、
その幸せをかみしめるかのようなゆっくりとした足どりで。
ひとりの時間から家族の時間へ、
この橋はエリザベスにとって、さしずめ心のドアであろうか。
 
ある日、お金持ちでハンサムなヒングリーが町に越してきた。
ベネット家の5人姉妹は大はしゃぎ。
ベネット夫人は“花嫁候補は我が娘から”と鼻息も荒く、
社交嫌いな夫をけしかけ、一家は歓迎の舞踏会へ。
そこでエリザベスはヒングリーの友人である貴族、ダーシーと出会う。
ところが、彼の尊大な態度に腹を立て
「あんなひとと結婚する女性は不幸よ」と息巻く始末。
お互いに気になる存在でありながら、ねじれてしまう二人の心…。
 
舞台は、中世から近代へと変わる頃、
貴族社会や男性優位の考え方が崩壊の兆しを見せる時代。
けれども、古い慣習からはなかなか抜けきれず、
女性は結婚して男性の庇護を受けることが生きる道だと信じ、
男性は社交に長けていなければ出世もままならなかった。
 
主人公の父であるベネット家の当主は、荘園の領主でありながら、
社交よりも家族と書物を愛する心優しい人物。生活は困窮するが意に介さない。
父と同様、書物に多くを学ぶエリザベスは、
母が勝手に取り決めた縁談を断固拒絶。
自由な心に従って生きる娘の言動は、周囲の心を翻弄しながらも、
次第に大切なものの存在に気づかせていく。
 
原作は英国作家ジェーン・オースティン。18世紀に発表され、
いまなお世界中の女性を魅了する不滅のラブストーリーである。
映画の中では、絵画のような田園風景とともに、
本物の貴族の館がいくつも登場し華を添える。
そのひとつ、ダーシーが住まう壮麗な館の前には、
噴水や植栽に華やかに彩られた大庭園が広がり、
客を出迎える館内のアプローチには、
見事な天井画と、豪華な絵画や彫刻が所狭しと飾られ、
訪れる客を別世界へと誘う。
素晴らしい芸術品の数々に圧倒され、
憎しみを忘れ素直に見入ってしまうエリザベス。
アプローチの美しい仕掛けが一服の清涼剤となって、
偏見に満ちた彼女の心を溶かし始めていた。
 
心をリセットしたり、本当の心に気づかせたり。
「橋」や「アプローチ」といった導入装置には、
そんな魔法が潜んでいそう。
 
「プライドと偏見」
DVD販売元/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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